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11.10   comment (0)

3日と5日に拍手くださった方々、ありがとうございました! えへへーうれしいですーありがとうございますえへへー^^*

さて、「梅の香」、まだまだ続きます。いったいつになったら終わるの。
そして「ことほぐるひと」はどうして行き詰っているの。

今回は、三男、学の独白です。
あんまり明らかにしていなかった彼らの過去について。





本は存外早く読み終わった。時刻は七時を少し過ぎた頃であった。
本を閉じた姿勢の侭、読後の余韻と思考に身を投じていると、つ弥が茶を汲みにやって来た。
訊けば、二人の兄は未だ帰宅していないらしかった。
おそらく、三人で良い御茶を飲みながら親しく話でもしているのだろう。近頃は互いの付き合いや会話が減っているようだったが、それでも幼い頃からの繋がりというものは切れ難いのだろう、と、つ弥の淹れた美味く無い茶を啜りながら考えた。
幼い頃、身体が弱かった私のところへ、三人は一緒にやって来た。それから、外でとって来た柿やら鍬形を自分の布団の上に置いて行くのが常であった。
一度、彼等が二、三十のカナブンを自分の部屋に放したことがあった。
自分は酷く驚いた。
目を覚ますと、自分の周りでカナブンがぶんぶんと飛んでいたのだから、無理もない。
その日、彼等は母にこっ酷く叱られていた。その間、横でつ弥がはたきで緑の虫を追い払っていた。
後日にその話をすると、長兄が「つ弥は余り虫が得意では無いから悪い事をした」と言った。その言葉に三人が一遍に笑い出す。三人が何を面白がって笑っているのか自分には分からず、少し腹を立てたのを覚えている。

兎角、あの三人は常時三人であった。そしてそれを自分は部屋の布団の中から見ていた。

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