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07.18
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第4弾は「柳」です。
これはひどいです^^^^テラ中二病です^^^^^^
なんかもう色々未熟なとこがありすぎて顔から火が出そうです^^^^^
そしてちょう中途半端です^^^
ああ、ほんとひどいわこれわ^^^
 




「此方です」
その言葉と同時に襖が開けられる。その瞬間、目に飛び込んできたのは、黒と、白だった。
格子窓から漏れる外の喧騒や灯りを吸い取る、長い緑の黒髪。生まれ出でた侭の状態で晒された白い、肌。
「あ、あの、いいんですか、入っても?」
振り向いて、案内人に確かめる。
「いいよ」
しかし、問い掛けに答えたのは部屋の奥、此方に背を向けたその人だった。艶っぽく低い声だった。
「雲竜、御苦労だった。下がって良い」
「……」
雲竜と呼ばれた案内人は無言の侭、下がって行った。
「し、失礼します」
「固くならなくたっていい」
振り向いたその人は、矢張り何も身に着けていなかった。
「い、いえ……」
彼は咄嗟に目を逸らした。まるでキリストの性器に触れたみたいな気分だった。
「ああ、そうか。この格好がいけないのか。じゃあ、今、何か着るよ」
そう言うと、その美しい人は足元に敷いてあった掛け布団を手に取り、ビリリ、と迷いなく破った。
「え」
その布を身体に巻き付け、今度は敷布団をビリッビリッと、紐状に破り取る。
「えええ」
「よし、これでいい」
彼が慌てふためく前で、紐を腰でぎゅうときつく縛ったその人は満足げに笑った。
「座って」
その人は、ボロボロになった布団の上で胡坐をかき彼に笑いかけた。
「え、えっと、はい」
頷く。
「これの上に」
投げ寄越されたのは、敷布団の切れ端だった。彼は戸惑いながらもそれを畳の上に置き、その上に正座をした。
「で、君は外から来たんだったね」
「はい。此処に来る直前、祖母のエリカに八千代という人を、貴方を、訪ねろと言われました。まさか、八千代さんがその、男だとは、思っていませんでしたけれど」
「エリカ、懐かしい名前だな。あの人には世話になったよ。しかし君、外では男と女で名前が違うそうだけれどね、ここではそんなものアテにしちゃあいけない。性別でも名前でも年でも、飯は食えやしないんだから」
「は、はあ」
何処かずれた話をするその、八千代という人。
「しかしまあ、便宜上呼び名というのはあって困りはしないからね。君、名は?」
「あ、フレデリク、です」
「ふれでりく。発音し辛いなあ。うーん、たしか、君を案内してきたのは、雲竜だったね。よし、じゃあ、君は今日から柳だ」
「え」
「ヤ・ナ・ギ。良いじゃない、まるで怪談話に出てきそうで」
そう言うと八千代は声を出して笑った。柔らかい口調なのに、棘々しさと傍若無人さを含んだ不思議な喋り方だと、柳はぼんやりと思った。
「ところで、柳、君は何が出来る?」
「え?」
「飯食う糧に出来るものはあるのかい、と聞いているんだよ」
「い、いえ、特に、なにも」
「それじゃあ、外では何をして暮らしていたの?」
「あ、祖母の援助で、学生をしてました」
「ふーん」
八千代の瞳は、深い深い黒曜石だった。
「じゃあ、好きなものはある?」
「本が、好きです」
柳はその言葉を発しながら、自らの無能さに愕然とした。
「ああ、そう。わかったよ。じゃあ君、今日からしばらく此処で私に付くといいよ」
「あ、はい、ありがとうございます」
「自分の無能さを気に病まなくったっていいんだよ。外のお坊ちゃんなんて大抵そんなものなんだから」
「……すいません」
「うん、でも自分が無能であるということを知るのはいいことだよ。さて、じゃあ、まず着物の着方から教えなきゃだね。おーい、雲竜ー?」
すぐさま、柳の背後の襖が開く。
「お呼びで」
「うん、柳に色々教えてやって」
「はい」
雲竜は、柳を一瞥してから頭を下げた。
「あ、よろしくおねがいします」
「こっちだ」
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