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07.21
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04.08   comment (0)
短いです。すいません。そして話進むの遅い。これ、十までいくんじゃね?って感じです。
私的にもサイト方針的にも五ぐらいで終わらせたいんだがなあ。
 
どうでもいいけど、「到頭」っていう変換が出ません。「TOTO」って出てきます。トイレメーカーの名前よりも漢字変換の集録を増やそうよ……。
漢字変換、本当に面倒臭いです。
でも紅花は漢字変換多めにしないと、全然時代感が出ないんだ。というか漢字変換だけで誤魔化している感が否めない。
そろそろ本気で時代設定を定めないときついですねーどうしましょーか。出来ることなら戦争のにおいが未だしない頃か薄れた頃が良いなーと思ってます。戦時中の設定で萌え目的のもの書くのは自分的に許せないので(でも読むのはオッケー)。

あ、ちなみにまだホモ臭くないです。
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04.04   comment (0)
続きます。
今回あげた部分はそうでも無いけれど、どんどんホモくさくなる予定です。エロシーンはないです。
しかし、これ、時代、いつなんだろう。
てか鉄道が普及している時って既に電話も各家庭にあったりすんのか?そして鉄道の床の油塗りって木張りの時代はいつもやっていたのか?

それにしても紅花シリーズは時間がかかる割に沢山書けなくて、ショボーンってなる。でも書くの楽しい。特に慌てふためく滝口。
03.31   comment (0)
前回載せたのも、再度載せてます。
今回書き足した部分は「つづき」以下です。

あとがき(ネタバレあり)
いやしかし書いてから時間の経ってるものの続きを書くのは大変だ。
あ、結局出て来ず終いだった「紅花」ですが、彼が百合子さんに出したお茶が紅花茶だったという設定なのです。紅花茶は婦人の身体に良いものとされています。要は、彼が百合子さんに対してデレデレ。
そして彼に名前をつけ忘れた侭、終わってしまった……。可愛そうだから今つけてあげよう。そうだな……蕪木(カブラギ)とかで良いか。(てきとう。
あ、それから時雨が涙に例えられるのは古文世界では常識だそうです。それから普賢菩薩っていうのは、「時雨西行」という日舞の演目がありましてね、西行という人が時雨にあった際にとある家で雨宿りをし、その家の主人である遊女が実は普賢菩薩だったっていうお話があるのです。
滝口は日本文学等に造詣が深いことを心のどっかで鼻にかけている部分があるのと、ちょうど、百合子さんが元身売りの女で、蕪木とデキ婚っていう裏設定があったので、そういう要素をお話の中に盛り込んでみました。



それは、霙が音をたてて降る、寒い日だった。
その日まで、私は彼が本を読んでいるのも、彼の部屋に本があるのも見たことがなかった。一度、居間に週刊文春があったのを見かけ、彼に問うたことがあったが「それは細君のものだ」と一言言っただけだった。だから、その時までずっと、私は彼は本を読まないものだと思っていたのだ。そんな折、私はなんとは無しに、ある小説の一節をもじって、彼が気付かないであろう冗談を言った。するとどうだろう、彼はその作者の名を呟き、さらには「あれは良い作品だった」と言ったのだ。
「君、本を読むのかい」
私の驚きは大きなものだった。
「ほう。何故」
「だって、君、今まで僕の前で本を読んだ事など無いじゃないか。しかも部屋にだって」
そう言いながら私は彼の部屋を見回した。
「此の通り。一冊も見当たらない」
そんな私を、彼はもの珍しそうに見ながら、顎に生えた無精髭をさすっていた。私はその様子に、憤りさえ感じた。
「なんで隠していたんだ」
私がそう言えば、彼はかっかっ、と笑い声をあげ、
「別に隠していたわけじゃない。ただ、人前で本を読むのが好かない、それだけのことだ」
「では、何故部屋にも本が無いんだ」
私は食い下がった。
「無いんじゃない、仕舞ってあるのさ」
そう言うと彼は徐に立ち上がり、そして、部屋の隅の小さな桐箪笥の前に膝をついた。
「ほれ」
彼が開けた引出しを覗けば、其の中には沢山の本がどっさりと平積みにされていた。
「一体如何して其の様なところに仕舞ってあるんだい」
「日に焼けるのが嫌だからだ」
彼はそう言いながら、また元の火鉢の前に腰を据えた。私も同じように火鉢に寄り添う。全身の力がへなへなと抜け、気力まで萎えてしまった。
「どうした。そんなに疲労困憊する程、驚いたのか」
彼はまた面白そうに笑った。
「違うよ。断じて違う」
「ほう」
「今までの時間が、惜しいんだ」
「ほう」
彼がこの「ほう」というを使うのはいつも、相手に話を続けろと暗に言っているときだった。
「君が本を読んでいるということを知っていれば、私はあんな阿呆な連中と論を交わしに態々出掛ける事などせずに済んだ。知っていれば、いつもの様に此の家に来て君と論議をすれば良かったんだ。本当に、今までの時間が惜しい」
「断る」
火鉢で炭がぱちんと、はぢけた。
「それはどういう意味だい」
私は語気を少し荒くした。
「俺は本についての論を他人と交わすのは好かない。だから、お前と此処でそのような論議をするのは断ると言っているんだ」
「少しぐらい良いじゃないか」
「却下だ」
「どうしてそんな下らない意地をはるんだ。どうせ君にとっちゃ、いつもの無駄話がまた別の無駄話になるだけじゃないか」
彼は少しの間、黙ってから呟くように言った。
「お前は、俺が、お前との話を無駄話だと思っている、と考えていたのか」
外の霙はいつの間にか強い雨音を連れて来ていた。
「心外だな」
こんなにも近くに居るというのに、火鉢の温かさは微塵も感じられなかった。
「どれ、心外ついでに茶でも淹れてやるから少し頭を冷やせ」
そう言って彼は私と自身の湯呑みを持って立ち上がり、部屋から出て行ってしまった。襖の向こうから「私がやりますから」とか「いい、お前は休んでろ」とか言う声が聞こえる。
彼の内儀は身重だ。今日、此の家に赴いた時には大きな腹を抱えて苦しそうにしながらも案内をしてくれた。恐らく一月もしない内に生まれるのだろう。彼は愛妻家で、最近は妻の身体を慮って土間にさえ立っているという。
「はあ」
ため息が火鉢の中に転がり出でた。
「ごめんなさいね」
襖越しに彼の内儀の声。
「いえ、いいんです、私が悪いんですから」
そう私が言えば、「ふふふ」と笑う、彼の内儀という人は彼とは真逆で、実に柔和な人だ。堅物の彼を全て包括するようにして、その百合子という人はこの家に佇んでいる。
「本当に、似ているわ」
「はあ」
「あの人と滝口さん、そっくり」
凛とした声は、雨音の上をすう、と通って、響く。
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