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07.18
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04.04   comment (0)
続きます。
今回あげた部分はそうでも無いけれど、どんどんホモくさくなる予定です。エロシーンはないです。
しかし、これ、時代、いつなんだろう。
てか鉄道が普及している時って既に電話も各家庭にあったりすんのか?そして鉄道の床の油塗りって木張りの時代はいつもやっていたのか?

それにしても紅花シリーズは時間がかかる割に沢山書けなくて、ショボーンってなる。でも書くの楽しい。特に慌てふためく滝口。




桜の蕾が綻び、空に広がる枝全てを薄桃色で覆った頃。
私の元に一通の手紙が届いた。
蕪木からだった。
『すまない 来てくれ すまない』
それだけだった。それだけが彼の字で紡がれていた。
私は驚いた。
彼が手紙を寄越したこと、そして何より、其の手紙に謝罪の言葉が綴られていたことに大きく驚いた。
私は手紙を握り締め、直ぐ様家を飛び出した。

外は正しく春一色であった。優しく暖かい風が吹き、花弁が蒼い空に舞う。いつもなら塀の下の穴から鼻を覗かす好奇心で一杯の犬も、今日ばかりは眠そうにして塀の内側で伏せて居る。小路の地、一面に広がるのは薄桃。それを終わりも見えない侭、のったりと掃くご老人。

私は地に敷かれた花弁を巻き上げ、早足で其処を通り過ぎる。道行く人は皆、午睡に浸った侭歩いている様にゆったりと桃色に浮かれて居た。
線路に面する道に出た処で行き過ぎようとする列車を見つけ、私は慌てて飛び乗った。油の塗り過ぎでツルツルと滑りそうになる木張りの床を注意深く踏み締めて、座席に座った。
そこで、掌に握り締めた侭だった手紙を見る。付いた皺を、膝と手の平を使って伸ばしてみる。大した差は得られなかった。
暫くその動作を意味も無く繰り返した後、もう一度、その、文と言うには余りにも短い文面を視線で撫でる。
見返して見れば其れは二行に分かれて居た。
『すまない 来てくれ
すまない』
考えるに、最初の『すまない』は『来てくれ』という依頼に対してのものだろう。
しかし、そうだとしたら二回目の『すまない』は一体何に対しての謝罪なのだろうか。

私はどうしようもなく嫌な予感がした。

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