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「それ、どうするの」
少年が指をさす先。男の手。そこには、一輪のバラ。愛らしいリボンや美しい包装紙もなにもないバラ。その茎にあるはずのトゲは全て折られたバラ。花びらがまだ綻び初めたばかりで、ワイングラスのようなかたちのバラ。薄桃のバラ。
無骨な男の手に、その美しい花はあまりにも不釣り合い。
可哀想な、バラ。
「決まっているじゃあないか」
男は笑った。角張った男の指が花弁を撫ぜる。なめらかな薄桃色。しっとり、として、さらり、としているその表面を。
「綺麗に、綺麗に、咲かせて、」
少年は恐れおののき、身体をふるわせた。男はそれを見て、また笑った。強者が弱者を笑う。水気を含んだ、爽やかな桃色。摘まれ、トゲを奪われ、命を取られた、桃色。
可哀想な、バラ。
「そうして、水をとばして永遠の美しさを与えるのさ」
男が知を振りかざし、それに満ちた愛を与えれば、花の凛とした潤いは失われ、温かな涼しさは葬られる。液体の命を吸い取られ。
可哀想な、バラ。
「どうだ、素晴らしいだろう」
「うん」
少年は生ける屍となることを望みはしないが選ばざるを得ない。少年は死を恐れるから。男は死を与えるから。
死して尚、土に還ることも許されず、生かされる、子。
可哀想な、キミ。
少年が指をさす先。男の手。そこには、一輪のバラ。愛らしいリボンや美しい包装紙もなにもないバラ。その茎にあるはずのトゲは全て折られたバラ。花びらがまだ綻び初めたばかりで、ワイングラスのようなかたちのバラ。薄桃のバラ。
無骨な男の手に、その美しい花はあまりにも不釣り合い。
可哀想な、バラ。
「決まっているじゃあないか」
男は笑った。角張った男の指が花弁を撫ぜる。なめらかな薄桃色。しっとり、として、さらり、としているその表面を。
「綺麗に、綺麗に、咲かせて、」
少年は恐れおののき、身体をふるわせた。男はそれを見て、また笑った。強者が弱者を笑う。水気を含んだ、爽やかな桃色。摘まれ、トゲを奪われ、命を取られた、桃色。
可哀想な、バラ。
「そうして、水をとばして永遠の美しさを与えるのさ」
男が知を振りかざし、それに満ちた愛を与えれば、花の凛とした潤いは失われ、温かな涼しさは葬られる。液体の命を吸い取られ。
可哀想な、バラ。
「どうだ、素晴らしいだろう」
「うん」
少年は生ける屍となることを望みはしないが選ばざるを得ない。少年は死を恐れるから。男は死を与えるから。
死して尚、土に還ることも許されず、生かされる、子。
可哀想な、キミ。
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久々に少年少女シリーズ。
ぬるり、
腿の内側を伝う赤い水
制服のリボンと同じ色
ズキズキズキ、
下腹部を襲う月経痛
なぞれば子宮のかたちが露わになる
ドクドクドク、
流れ出る経血
脈を打つ痛み
直径1mmの57人目が膣を通過する
(ごめんねごめんねごめんね、ごめんね、)
鮮明な痛みと赤
臭いが鼻に、纏わり付いた。
ばらばらのペンとキャップ
夢色だったものが黒へと挿げ替わっていた
ハロウ、赤の他人
遊びはもう、やめましょう
十円玉が動くのは自己催眠の結果だったの
触れ合った指先は暖かかった
それで良いでしょう
暇つぶしにはなったでしょう
桃色の爪で飾った私の指を撫で笑ったね
それをいま、赤く染め上げました
お別れ会を開きましょう
舞浜の国の回転木馬が嫌いになったのは
冷水の、シャワーに慣れた頃です
歓迎会を開きましょう
ちぐはぐの君と私
桃色だったものが白へと成り変わっていた
グッバイ、マイダーリン
遊びはもう、やめましょう
相思相愛になるのは強迫観念の結果だったの
触れ合った唇は温かかった
それで良いでしょう
暇つぶしにはなったでしょう
夢心地にはなったでしょう
グッバイ、マイダーリン
お別れ会を開きましょう
ハロウ、赤の他人
歓迎会を開きましょう
グッバイ、
マイダーリン
パチン、パチン、
冷たく硬い壁に寄りかかる
壁とゴミ箱に挟まれた部屋の隅
足先から体温が奪われてゆく
パチン、パチン、
冷えた空気を震わす渇いた音
バラバラと落ちてゆく白い破片
爪を切る
パチン、パチン、
あなたが唯一、私を誉めてくれた
きれいだ、と言ってくれた
うすくて、まあるい、爪
パチン、パチン、
私が唯一、自信を持てたもの
きれいでしょ、と言えた
もろくて、ちいさい、アイデンティティ
パチン、パチン、
嗚咽をあげて切り落とす
もうこれにこだわって生きてはいけないの
一回一回、言い聞かせる
パチン、パチン、
バラバラと落ちる
脆弱な私
さようなら
私