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07.21
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09.14   comment (0)
2話目です。
20分ぐらいで書きましたすいません。この2話目は、(ネタバレ?)「安っぽい恋愛ものエンドにならないために未来の私を縛る」という目的のためだけに書きました。(/ネタバレ?)
 
記事のつづきから、どうぞ。
 




 
 
あの瞬間の、
あの感覚は、
 
「なんなんだろ……」
 
 
02.きのうをしらないきょう
 
 
「では、皆さんが待ちに待った成績表をお渡ししまーす!」
担任の女教師の高い声。自称20代。若さにすがりつく女という生き物は、色んな意味ですごいと思う。私もいずれはああなっちゃうのかと思うと、ちょっとだけ、人生イヤになってくる。
「1番、和泉さーん!」
「はーい……」
わざとらしく、気の無い返事をして私は立ち上がった。
 
 
 
何はともあれ、夏休みがやってきたのだ。
「今年はどうするか決めてるー?」
裕未の携帯は、いつ見ても重たそうだ。
「んー、まずは部活。それから、祭りと海。あとは、男子たちと一緒にバッティングセンターかなー」
「まぁた黒須くん?」
アイスの自販機の、重低音が聞こえる。
「……別にそこまで決めてないけど」
それと、蝉の声。
「ふーん、でもどうせ黒須くんなんでしょ?」
「……いいじゃん別に誰だって」
「けどさー、黒須くんってちょっとキモくない?」
「は?なんで?」
「だって動きが独特じゃん。喋るときに体が、ぐらぐらーゆらゆらー、って」
「……私は気にならないけど」
「なんなんだろねー、あの動き。昔はあんな動きしてなかったのになー」
「昔?」
「うん。あたし、黒須くんと小学校からずっと一緒」
「へー、そうなんだ」
なんだか無性に腹が立ってピンク色のアイスキャンデーにかぶりついたら、前歯と頭がキーンと、した。
裕未のアイスは夏の空の色をしたソーダ味。私のは甘酸っぱいイチゴ味。
 
ああ、
もしかしたら、
 
「ねえ、裕未」
「ん、なに?」
「レンアイって楽しい?」
ふき出しそうになった裕未の唇から、青色の汁が滴る。
「なに!?なんで!?どうして!?」
「楽しい?」
「そりゃあ楽しいけどさ、え、なになにどうしてなんで!?」
「ん、いや、なんとなく」
ジンクスまみれのストラップがゆれる。
「え、まさか好きなヤツ出来たの!?」
見ていると目が回ってきた。
「いやいやいやいや、そういうワケじゃなくってさ」
やっぱり、違うのかな。
「まったまたー。ホントは出来たんでしょ?誰?誰?言っちゃいなよー。あ、もしかして黒須くん?」
第2ボタンまで開けられたYシャツ。下着がうっすら透けていて。
「違うってば!」
 
 
あーもー、よくわかんないや。
 
「……私、今日はもう帰るね。これ、あげる」
まだ一口しか食べてない恋色のアイスキャンデーを裕未に押し付けて、私は駆け出した。
「え、ちょっと、あんずー?」

  
ただ、なにかが、
 
 
 
「なにかが、ちがう」
 
そんな気がする。
 
曖昧な感覚と夏の熱気は、私のほっぺたに張り付いて。
 
 
離れない。
 

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