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07.26
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10.01   comment (0)

よっし!更新、宣言通り!
どうでもいいけど、(ネタバレ?)小説の中で、携帯電話のメールの表記をするの、私はあまり好きじゃないです。それなのになんで今回使ったかっていうと、てっとり早いからです。すいません。いつか、なおしときます。
ちなみにこの話の製作時間は1時間ぐらいです。
2話で恋愛エンドをなきものにしたり、「神様視点はやらない」っていう決意のおかげで、近道&逃げ道がなくなってしまったおかげで相当悩みました。まあ、技巧はゼロですが!(おいおい。

(/ネタバレ?)

では、ずたぼろな3話、お暇でしたら読んでください!
 





 
私は時々、苛立って仕方が無くなる。
なまぬるい羊水につかってきたような奴に。
そのことを当たり前のように他人に話せる奴に。
「家に帰りたい」そう言える奴に。
 
毎日、私が帰れば、勿論そこには誰もいなくって。
義春が残したであろう朝食と昼食をゴミ箱に入れ、テレビをつけることはもう何年も続いた日課のようなもの。
 
Vuvuvuvuvu....
無機質の極みのバイブレーションに、携帯を開けてみれば母からのメールだった。

 
 7/22 20:23
差出人 母
件名  (no title)
――――――――――――――
帰りは1日です。食卓の上にお
金おいときます。

 

――――――――――――――
 
 
パタン、
携帯を閉じてテーブルの上のお金を手にとる。
9万あった。
「………ばっかみたい」
 
テレビの音に砕かれ落ちたのは、かすかな、かすかな、裕未の声。
 
 
 
 
03.落っこちた、きのうの太陽
 
 
  
 
夕日の赤色に染められてしまった彼女。
細い足がベンチからぶらぶらとつりさがり、色素の薄い艶やかな髪は、汗で頬にはりついていた。
その柔らかい頬にあるのは、無垢な笑み。
しげる桜の木を見上げ、調子っぱずれな鼻歌。
ずっと昔の歌姫が歌っていた三拍子のラブソングだった。
桜の葉がそれにあわせるようにさわさわと踊って、水を多く含んだ風がやさしく吹いた。
そして、
どうしようもないぐらいに溢れかえってくる「愛おしい」という気持ち。
 
(自分には彼女しかいないんだ)
(彼女には自分しかいないんだ)
過信に満ちた確信をひっそりと再確認して、
 
「あんず」
「ん、なに?」
途切れるメロディー、彼女の鳶色の髪が空気を孕んで揺れた。
「行こう」
「え、もう?」
「ああ」
そっと彼女の手を握った。
「日が沈むから、さ」
 
(自分は、今、せかいいちのやさしい顔をしている)と、思った夏。
 
あかい太陽が背中の方で沈んでいった夏。
前のほうからは紫色の幕がせまってきていた夏。
 
それでも、何も怖くは無かった夏。
 
 
 
あるのはただ無限の自由、それだけだった。
 
 

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