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今までのと比べると大分、粗が目立ちますね……。
蕪木が誰これ状態。普段の彼はこんなんじゃないっす、すいません。
あ、そういえば「こぞのはる・二」で変換ミスを見つけたので修正しときました。
しかしまあここを訪れてくださるほぼ100%の方が問題なく読める範囲内で難しい漢字を使っていくっていうのは中々大変です。
読めない漢字があったら遠慮なくお知らせください。
逆に、ここは漢字変換しても問題ねえよ馬鹿にすんじゃねえよゴラァ!っていうのがある場合もどうぞお気軽にお申し付けください。
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彼が私を通したのは、自室では無く客間であった。私はその事に関しては何も言わないことにした。綿がぶかぶかとして、煎餅布団で寝ることに慣れた私にとっては逆に気持ちの悪い、上等の座布団が出された時も黙って其れに座った。そこから彼の心の内で一体何が起こったかを察することは到底出来得なかったが、兎に角今日の彼は私を客人として扱うことにしたのだろうということだけは分かった。
私達は無言の侭、ほうじ茶を飲んだ。
私が茶碗の中身を空にすれば、彼は其れに茶を注いだ。
まるで逆だ。
彼は、普段の彼は、手紙を寄越したりましてや其処で謝罪の意を述べたりなど絶対にしない。彼は、私を客としても友人としても扱わ無い。私の様子など窺わ無い。お茶の代わりは疎か、飲み干したことにさえ気付か無い。
それが、彼の筈だ。
私は、戸惑っていた。
しかし、同時に何処か落ち着いても居た。
私と彼が知り合ってから既に二十年以上が過ぎている。そして其の二十余年の間、彼には様子が奇怪しい時があった。
これで、五度目か。
何時だったか「奴は五年に一度、荒れるのさ」と、彼の亡き父親が言っていたのを思い出した。此の茶葉屋の先代は「荒れる」とたった一言に纏めてしまっていたが、彼の実際の「荒れ」方は実に様々だった。激して身の回りの諸物を片端から殴り蹴り、破壊することもあれば、十日もの間、何も口にしないこともあったし、毎晩毎晩幾人もの立ちんぼを買い漁ったこともあった。
其れらに比べれば今回は、非常に靜かだ。
二杯目の茶が空になりかけた時、私は漸く口を開いた。
「美味いよ」
静寂に耐え切れなくなった為だった。
「そうか」
「此処に来たのはどのくらいぶりだったかな」
私はあたり障りの無さそうな話題を選んで、話し始めることにした。
「二週間程だ」
彼は即座に答えた。
「……そうか。何だか豪く久しい感じがしたのだけれどね」
「その前までほぼ毎日の様に来ていたからな」
「そう、だね」
私は目の前にあるほうじ茶で今一度唇を濡らしたくなったが、そうすれば彼は再びお代わりを淹れるのだろうと
考えて思い止まった。其れは出来る限り避けたかったのだ。
「ああ、そうだ。兄が近い内に復た茶葉を取りに来ると言っていたよ」
「そうか。有り難う」
居心地が、悪い。まるで別人と接しているような気分になる。
「いつものものをいつもの量と、それから、何か季節感がある風変わりなものが欲しい、とか」
「分かった。ショウさんにも礼を言っておいて呉れ」
兄の名は、昇、という。彼はそれを音読みしてショウさんと兄のことを呼ぶのだ。そう言えば、もう何年も彼に名前を呼ばれていない様な気がする。
結局、私は耐え切れずに二杯目のほうじ茶を飲み干してしまった。彼は直ぐにそれに気が付き、三杯目の茶を淹れようと立ち上がりかけた。
そして私はそれを止めた。
「茶はもう良いから」
彼の眉が心持、苦しげに歪んだ様に感じた。
「話をしよう、蕪木」
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