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土曜日の昼過ぎ。
ふたりだけの教室。
それはなんだか背徳的な気分さえした。
しん、と静まり返った夏の空気のなか、私たちは向かいあっていた。
永遠のような一瞬が過ぎた後、彼が口を開いた。
「好きだ」
その言葉は脳髄を刺激して、
鳥肌がたって、
胸が震えて、
そして――――
Pipipipi,Pipipipi...
ガンッ
反射的に目覚まし時計を叩く。
そして、そこで気付いた。
夢、だった。
まるで現実のような、夢、だった。
いまだ、肌が粟立っている。
いまだ、胸が高鳴っている。
現実、だった?
いや、違う。
あれは、夢だった。
ベッドから降り、裸足のまま浴室に向かう。
冬のフローリングは冷たかった。
(好きだ。すきだ好きだ好きだすきだすきだ好きだすきだすきだ)
頭のなか、何度もリピートされる言葉を掻き消すように蛇口をひねった。
シャァァァアァアア、、、
冷水のシャワー。
髪やパジャマが濡れて、身体にはりついてゆく。
全身の感覚が麻痺してゆく。
体と一緒に心の温度も下がってゆく。
冷たい。寒い。
痛い。
そう、これが現実だ。
さっきのは夢だ。幻だ。
全て、過去の幻影なのだ。
「よし、」
蛇口を締めて、風呂場から出る。
蜃気楼はただの湯気
昨日はただの幻
あなたはただの影
私はただ現実という名の今日を歩く
今までのことは全て夢
忘却の渦に飲み込まれ、語られることなく消える、
ただの、夢
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