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08.11
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03.31   comment (0)
前回載せたのも、再度載せてます。
今回書き足した部分は「つづき」以下です。

あとがき(ネタバレあり)
いやしかし書いてから時間の経ってるものの続きを書くのは大変だ。
あ、結局出て来ず終いだった「紅花」ですが、彼が百合子さんに出したお茶が紅花茶だったという設定なのです。紅花茶は婦人の身体に良いものとされています。要は、彼が百合子さんに対してデレデレ。
そして彼に名前をつけ忘れた侭、終わってしまった……。可愛そうだから今つけてあげよう。そうだな……蕪木(カブラギ)とかで良いか。(てきとう。
あ、それから時雨が涙に例えられるのは古文世界では常識だそうです。それから普賢菩薩っていうのは、「時雨西行」という日舞の演目がありましてね、西行という人が時雨にあった際にとある家で雨宿りをし、その家の主人である遊女が実は普賢菩薩だったっていうお話があるのです。
滝口は日本文学等に造詣が深いことを心のどっかで鼻にかけている部分があるのと、ちょうど、百合子さんが元身売りの女で、蕪木とデキ婚っていう裏設定があったので、そういう要素をお話の中に盛り込んでみました。



それは、霙が音をたてて降る、寒い日だった。
その日まで、私は彼が本を読んでいるのも、彼の部屋に本があるのも見たことがなかった。一度、居間に週刊文春があったのを見かけ、彼に問うたことがあったが「それは細君のものだ」と一言言っただけだった。だから、その時までずっと、私は彼は本を読まないものだと思っていたのだ。そんな折、私はなんとは無しに、ある小説の一節をもじって、彼が気付かないであろう冗談を言った。するとどうだろう、彼はその作者の名を呟き、さらには「あれは良い作品だった」と言ったのだ。
「君、本を読むのかい」
私の驚きは大きなものだった。
「ほう。何故」
「だって、君、今まで僕の前で本を読んだ事など無いじゃないか。しかも部屋にだって」
そう言いながら私は彼の部屋を見回した。
「此の通り。一冊も見当たらない」
そんな私を、彼はもの珍しそうに見ながら、顎に生えた無精髭をさすっていた。私はその様子に、憤りさえ感じた。
「なんで隠していたんだ」
私がそう言えば、彼はかっかっ、と笑い声をあげ、
「別に隠していたわけじゃない。ただ、人前で本を読むのが好かない、それだけのことだ」
「では、何故部屋にも本が無いんだ」
私は食い下がった。
「無いんじゃない、仕舞ってあるのさ」
そう言うと彼は徐に立ち上がり、そして、部屋の隅の小さな桐箪笥の前に膝をついた。
「ほれ」
彼が開けた引出しを覗けば、其の中には沢山の本がどっさりと平積みにされていた。
「一体如何して其の様なところに仕舞ってあるんだい」
「日に焼けるのが嫌だからだ」
彼はそう言いながら、また元の火鉢の前に腰を据えた。私も同じように火鉢に寄り添う。全身の力がへなへなと抜け、気力まで萎えてしまった。
「どうした。そんなに疲労困憊する程、驚いたのか」
彼はまた面白そうに笑った。
「違うよ。断じて違う」
「ほう」
「今までの時間が、惜しいんだ」
「ほう」
彼がこの「ほう」というを使うのはいつも、相手に話を続けろと暗に言っているときだった。
「君が本を読んでいるということを知っていれば、私はあんな阿呆な連中と論を交わしに態々出掛ける事などせずに済んだ。知っていれば、いつもの様に此の家に来て君と論議をすれば良かったんだ。本当に、今までの時間が惜しい」
「断る」
火鉢で炭がぱちんと、はぢけた。
「それはどういう意味だい」
私は語気を少し荒くした。
「俺は本についての論を他人と交わすのは好かない。だから、お前と此処でそのような論議をするのは断ると言っているんだ」
「少しぐらい良いじゃないか」
「却下だ」
「どうしてそんな下らない意地をはるんだ。どうせ君にとっちゃ、いつもの無駄話がまた別の無駄話になるだけじゃないか」
彼は少しの間、黙ってから呟くように言った。
「お前は、俺が、お前との話を無駄話だと思っている、と考えていたのか」
外の霙はいつの間にか強い雨音を連れて来ていた。
「心外だな」
こんなにも近くに居るというのに、火鉢の温かさは微塵も感じられなかった。
「どれ、心外ついでに茶でも淹れてやるから少し頭を冷やせ」
そう言って彼は私と自身の湯呑みを持って立ち上がり、部屋から出て行ってしまった。襖の向こうから「私がやりますから」とか「いい、お前は休んでろ」とか言う声が聞こえる。
彼の内儀は身重だ。今日、此の家に赴いた時には大きな腹を抱えて苦しそうにしながらも案内をしてくれた。恐らく一月もしない内に生まれるのだろう。彼は愛妻家で、最近は妻の身体を慮って土間にさえ立っているという。
「はあ」
ため息が火鉢の中に転がり出でた。
「ごめんなさいね」
襖越しに彼の内儀の声。
「いえ、いいんです、私が悪いんですから」
そう私が言えば、「ふふふ」と笑う、彼の内儀という人は彼とは真逆で、実に柔和な人だ。堅物の彼を全て包括するようにして、その百合子という人はこの家に佇んでいる。
「本当に、似ているわ」
「はあ」
「あの人と滝口さん、そっくり」
凛とした声は、雨音の上をすう、と通って、響く。
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03.30   comment (0)
うわーい!一昨日拍手くださった方、ありがとうございます!気づくのが遅れて大変申し訳ないです……!

つづきで、かんづめさんにまわしていただいた、あなた色バトン!
03.30   comment (0)
正直、うちのサイトにのせてる文章に関しては、肩の力を入れて読んで頂く必要はゼロですmadoraです。こんばんは。

パソコンの画面上の文字を追っかけるのって疲れるし、ネット小説を気合い入れて読みたい人は少ないじゃないですか。
だから、うちのサイトは、一個一個のお話を短めに設定、さらに短い台詞の掛け合いや改行を多めにして見かけもすっきりするようにしています。

「気が向いたときに」「暇つぶしに」「なんとなく気晴らしに」
そういう心持ちで読んでいただける、そこそこ面白い作品を私は目指しています。

だから、かるーい気持ちで読んでください。
キャラとかいちいち覚えていただかなくったって良いんです。
「解釈はご自由に」バナー貼ってありますけど、解釈していただかなくって良いんです。

「なんか、良いね」とか
「良い暇つぶしになった」とか
そういう気持ちになっていただけたら、
それだけで私は大満足なんです。

以上、madoraでした。


追記
あ、でも、企画「また、八月が来た」に関しては例外とさせていただきます。すいません。
03.29   comment (0)
やっべえええ!3月が終わるぅうう!ぎゃああああ!おはようございますmadoraです!やっべ!やっべ!今月なんもやってねえ!やっべ!やっべ!うあああ何からやったら良いんだぁあああ!ひいいい!花見行きてぇええ!(どさくさ。
NAL書かなきゃ!紅花書かなきゃ!俳句よまなきゃ!歌詞書かなきゃ!感想文書かなきゃ!やっべえええおおおおお!書く系だけでこんなにあるよおお!うううう、とりあえず歌詞を完成させよう!で、さっさと提出してしまおう!どうせあの子らどんどん改変して歌っちゃうんだから!(やけくそ。
03.28   comment (0)

昨日はかんづめさんとゼリ子さんと417さんと一緒にさくらさんの舞台を見に行きました!

以下レポ!ちょう長い!ほんとに長い!そして、「そして」を乱用しすぎていてうざい!
ゼリ子さんのレポのが1000倍分かりやすいぜ!

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